新年早々、素晴らしい本に出会ってしまった。あまりの面白さに買ってから2時間後にはすべて読み終えてしうほど。あまりの衝撃に、今も興奮している。2013年最初に僕に衝撃を与えてくれたのはこちら「稼ぎたければ働くな」という本。
岐阜県大垣市に本社のある、未来工業株式会社の創業者、山田昭男さんが書いた本。地元の中部圏に、こんな素晴らしい会社があったとは知らなかった。もう素晴らしいを通り越して、笑っちゃうしかないようなエピソードがバンバン飛び出してきます。とにかく読んでもらえば、この本の素晴らしさが分かると思うのですが、なんとかこの本を読んでもらえるように、紹介します。
まずはタイトルのインパクトが凄い。「稼ぎたければ働くな」とはどういうことでしょうか。読み終わると分かるのですが、山田昭男さんの言っていることは、働くなということではありません。稼ぎたいと思うなら、そこで働く者たちの気持ちを一番に考えてあげるということ。従業員がモチベーションを高くして、一心不乱に仕事に取り組めるようにしてあげることが、経営者のやらなければいけないこと。その経営哲学をいくつか紹介させてもらいます。
働いて稼げないなら、働くな
この言葉は、はじめにに出てきます。冒頭から、山田節全快です。日本には約600万の会社があるが、1年間で4,000万以上儲かっている会社は3%しかない。残りの97%の会社はたった4,000万も儲けることができていないと。日本人は勤勉で一生懸命働く。しかし97%の人達は報われていない。この現実を前にして、どの面下げて一生懸命働けと言えるのだろうか、と山田昭男さんは言います。だったら、今までの通り一遍の常識をいったん捨てて、報われない仕事の仕方を考え直したらどうかと提案します。その解決策は今までと「真逆のことをする」こと。これだけがむしゃらに働いても結果が出ないのだから、それは正解ではないんだというのを、もう日本人は認めるべきだと僕も思います。
差別化とは常に考えること
父に勘当され、一人で商売をしていくしかなくなった山田昭男さんですが、今までやってきたことは、おやじの会社の仕事だけ。売る知識があるのは、おやじと同じ商材。なんとライバルはおやじの会社。同じ顧客に同じ物を売っていては、勝ってくれる訳がありません。どうやったら売れるかを考えたら、プラスアルファの価値を付けることだと思いつきます。ようは「差別化」です。差別化というと、物凄く難しく考えてしまいますが、ちょっとしたことでいいと山田昭男さんは言います。値段で差別するのではなくて、商品に少しの付加価値を付ける。その少しの付加価値は何かと考え続けることが大事だと。そして未来工業では、何か新しいアイデアをひとつ提案するたびに、500円支給されます!提案することは、商品に関することでなくてもオッケー。「食堂のテーブルに一輪挿しを置きたい」という提案でも500円。どんな小さな事でも考えれば500円。ひと月に10個考えれば、5,000円。ちょっとしたお小遣いになるから、みんな真剣に考えます。年間提案数は、なんと約1万6千件!計算すると16,000×500=8,000,000円もアイデア料を支給しているそうです。これを無駄金と思う人には、この考えの素晴らしさは分からないと思います。こういったちょっとしたことでも差別せずに賞賛することが、いつか大きなアイデアに繋がるんだと思います。ちょっとした発明が大発明になることなんて、たくさんありますから。これは凄いぞ!と思っている発明ほど、たいしたことがないんです(笑)「常に考え、差別化する」こと。ただがむしゃらに体を使って働けばいい訳ではないというのが分かるかと思います。
戸締まりが必要だと誰が決めた?
未来工業はセキュリティーをかけていないそうです。さらに門に鍵すらかけていないとのこと。理由は、お金がかかるから。どうせ鍵をつけたって、本気で泥棒に入られたら、鍵を壊される。だったら最初から付けないほうが無駄金を使わなくていいとのこと。泥棒に入られる損害額と、警備会社と契約したり門衛を雇ったり(未来工業には正社員しかいないので、門衛の人ひとりにも、年間750万を支払わないといけない)するお金、どちらがお金がかかるか計算しろと山田昭男さんは言います。すいません、そんなこと考えたこともありませんでした。確かにセキュリティーにお金をかけるぐらいなら、盗まれたほうがいいかもしれません(笑)
ホウレンソウは一切禁止
ホウレンソウなんて実にくだらない、と山田昭男さんは言います。いちいち上の指示を仰いでいたら、自分で考えることをしなくなるから。未来工業の方針は「常に考える」こと。常に考えて差別化を図ること(常に考えないといけないから、働くなと言っているわけです)。現場のことは現場に任せておけば、現場の者がみんなで考えて、なんとかするから大丈夫だと。確かにそうです、僕たちはいい大人なんだから、自覚を持って行動すればいいんです。そんな僕らに山田昭男さんは言います。「ホウレンソウなんてものは、ポパイに食べさせておけばいい」と(笑)
泥棒はどうやったら真面目に働くか
この本を読んでいると、山田昭男さんは性善説的なのかと思いますが、考え方の元になっているのは性悪説だと。人は怠け者で、ずる賢く、自分の得になることしか考えない。だから、泥棒に対するやり方を変えればいいんだと山田昭男さんは言います。隠すから盗まれる、管理するから怠けられる、管理するからごまかされる。しかし、ひとたびオープンにされると、悪知恵を働かせる必要がないから泥棒はいなくなる。そうすると、泥棒社員でもちゃんと働くようになるんだと、山田昭男さんは言います。隠すから悪さをしたくなります。すべてをさらけ出されては、盗みようがありません。すべてをさらけ出して人を信頼すれば、それに応えようと一生懸命働いてくれる。ここにも常識を超越した、逆転の発想があります。
日本は世界一腕が良くて世界一バカな国
「日本人は新しいものを発明する頭はゼロだけれど、世界一腕はいい」と山田昭男さんは言います。独創性がゼロでも腕がいいからそれを真似て、元の商品以上の付加価値を付けて儲けてきた。だが頭を使わないバカな経営者が増えてしまったから、それを安く売ろうと考えてしまった。海外に生産を移して、人件費を浮かして安く作ればもうかる。そんな馬鹿な発想をするから、価格競争に巻き込まれ、疲弊しているだけ。いいものを安くなんてとんでもない。「いいものは高く」が当然である。何故なら、いいものは手間がかかっているから。
小さな倹約、大きな浪費が肝心
倹約するか浪費するかの基準は、やる気がでるかどうかだけ。それを倹約することで、やる気が出ないことは、倹約してはいけない。浪費することでやる気がでるのなら、それはどんどん浪費する。未来工業には約80のサークルがあるそうだが、どのサークルにも会社から年間12万の補助金がでる。例えば社員が3人集まってサークルを名乗れば、12万がでる。12万×80サークルだから、年間約一千万!!!こんなの信じろって言われても信じられませんが、本当のようです(笑)小遣いまで貰ったら、社員は否が応でも働くようになる。恩義を感じた社員は、それだけ仕事を頑張る。恩義を感じた社員は、一千万ぐらい軽く稼ぎ出すとのこと。社員のやる気を引き出せるなら、一千万ぐらい安いものだと山田昭男さんは言います(笑)
人を動かしたいなら、命令するな!
「あれをやれ、これをやれと指示を出すのではなく、どうやったら部下たちが精一杯頑張ろうと思うのか」そのためには部下を説得することだと山田昭男さんは言います。命令ではなく説得して納得させること。たしかにそうです、納得できれば素直に動けます。納得できないことには、文句を言いたくなってしまいます。やらされるのではなく、自分でやることが大事。ここにも、「常に考える」という未来工業の理念があります。
先着順で採用しても人は育つ
今の日本は、みな学歴が高い。だから誰を採用したって、ちゃんと教育すればしっかり働くのだと。「育たないのは、育てられる人間が悪いのではなく、育てる人間が悪いのだ」と山田昭男さんは言います。立場を認めて、やる気の出る環境さえつくれば、どんな社員でも育つとのこと。そして一番大事なのは、結果が100点だからいいという訳ではないということ。例え結果が80点だったとしても、その人が100%の力を出しているならば、80%の力で100点を取った人より評価することが大事。頑張らずに取った100点は評価しない、頑張らせなかった上司が悪いと山田昭男さんは言います。評価の基準を常にそこに置いておけば、社員はみな100%の力を発揮して働く。その結集こそ、会社全体の業績を底上げしていくのです。
他にも紹介したい名言ばかり!
簡単にですが、この本の素晴らしい言葉を紹介させてもらいました。どうでしょうか、今までの常識では考えられないような、ビックリする考え方ばかりです。きっと読んだらすぐに行動が変わるのではないかと思います。
最後に、この本のおわりにも素晴らしいことが書いてありますので紹介して終わりたいと思います。
「道があるから進むのではない。進むところに、道が見えてくる。未来が見えてくるのである。」
僕らも常に考えて動きましょう!きっとそこには道があるはずだから。
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