次に紹介するのは槇原敬之の4枚目のアルバム「SELF PORTRAIT」です。
1993年10月31日発売。にリリースされたアルバムです。天使の羽が印象的なアルバムです(初回限定盤にはマッキーの背中に羽が付いているが、通常版には付いていない)。

SELF PORTRAIT

君3部作が終わった後に出たアルバムは、「SELF PORTRAIT」。意味は自画像です。ここまで君を描いていた曲が多かった槇原敬之ですが、このアルバムで君から僕にフォーカスを変えていきます。

収録されている楽曲をみても、恋愛の曲も今までとは少し違った角度から描かれています。1曲目の「君に会いに行く」は、デートの前の男性の気持ちを描いた曲ですが、完全に自分から見たシーンが描かれています。

その他にも切り口の違う恋愛の曲が収録されていますが、このアルバムを象徴する曲といったら「Witch hazel」。初めて曲名を見ると、なんと読んでいいのか分からないかもしれませんが、これは「ウィッチヘイゼル」と読みます。当時の槇原敬之が気に入っていた香水に「Witch hazel」という、アメリカマンサクの葉(樹皮)から抽出した外用薬
(ハーブ)が入っていて、一夏の恋愛を描いたこの曲には、匂いでその時のことを思い出してしまう香水の中に入っている成分が、この曲の名称に相応しいと思ったようです。聞いてもらったら分かると思いますが、歌でここまで一夏の恋を表現できる人は槇原敬之しかいない、と思わせる素晴らしい曲です。2番のサビの歌詞なんて、どうしたらこんな表現が思いつくのだろうかと唸らせられます。さらにこの曲のサウンドも素晴らしい。フレンチポップスといったらいいでしょうか、今聞いてもまったく古さを感じさせません。このサウンドにこの歌詞。是非聞いて欲しい一曲です。

2010年のコンサートで、「Witch hazel」を歌ったときは、本当に感動しました。まさかオーケストラのコンサートで歌うような曲だとは思っていなかったので。でも、こうやって聞いてみると、オーケストラのスケール感と、学生コーラス隊のコーラスが、より切なさを増幅させつつも、若者の力強さみたいなものも感じさせるような感じになっていて、何度聞いても最高です。

その他にも、名曲揃いの4thアルバム「SELF PORTRAIT」ですが、このアルバムを語るときには、この2曲は外せません。まずはシングルにもなっている「ズル休み」。この曲は、槇原敬之の歌では珍しい、ものすごく後ろ向きな曲です。「君のこと想うように僕もいつか愛されたい」という最後の歌詞がこの曲を象徴しています。別れた恋人のことを今でも想う僕。想っても君に届かないから、君には僕の気持ちが分からない。愛しても報われないが故に、僕も誰かに愛されたいと、自分から愛するのではなく、他者から愛されることを望む僕。そんな後ろ向きな曲を作ってから、槇原敬之はパタリと曲が作れなくなったようです。何をしても感じないし、美味しい物を食べても、何も感じないというような日々が続いていた時に、あるエピソードがあり(BOXセットに収録されているブックレットに書いてあります)、その後にできた曲が「MILK」です。とても落ち込んできた時に励ましてくれた友人のことを描いているように聞こえるこの曲ですが、本当は「落ち込んでいた僕が昔の自分に会いに行った」という曲のようです。歌詞を読んでみると、たしかにそのように取ることも出来ます。この曲はその当時の槇原敬之をそのまま表したような曲だったのでしょう。ずーっと音楽をやってきて、突然曲が作れなくなった僕。どうしたらいいか分からなかった自分を、昔の自分が助けてくれた。

そんな思い入れたっぷりの曲ですから、ライブで歌った時に思わず泣いてしまったことも、、、それぐらい槇原敬之にとっても大事な1曲なのかと思います。

この「SELF PORTRAIT」にはその他にも、「No.1」「彼女の恋人」「雪に願いを」といった、有名な曲も収録されています。名曲満載のアルバム「SELF PORTRAIT」。是非聞いてみて下さい!

Boxアルバムの他のアルバムのレビューはこちらから。
1stアルバム「君が笑うとき君の胸が痛まないように」
2ndアルバム「君は誰と幸せなあくびをしますか。」
3rd「君は僕の宝物」

 

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