何が答えか分からず戸惑う僕に、どこからともなく彼の歌がそよ風のように吹き、何が大事なのかをそっと教えてくれる。これが僕の長い間変わらない日常だ。23年前、キーボードを弾きながら「どんなときも。」と歌う、垢抜けない青年の歌が心に響いた。多感な年頃の男が惹かれるようなルックスではないその青年は、槇原敬之というアーティストだった。同じ学年の友達たちが、バンドだ女性アイドルだと盛り上がる中、僕は彼が作り出す歌にどんどん引き込まれていった。一人で作詞をして作曲をし、歌の世界を構築する編曲まで手掛ける槇原敬之。コンピュータが発達して何でもひとりで出来る時代になっても、こんなアーティストは槇原敬之ぐらいだろう。

デビューから25年が経ち、生み出された歌は200曲以上。どの歌もバラエティに富んだジャンルの音楽で楽しませながら、物事の核心を付き、すっかり忘れている大事なことに気付かせてくれる歌ばかり。そんな歌を長い間聴いてきたから、歌の全てを知っていると思っていた。しかし、様々な出来事が日々の生活で起きる中、今まで以上に彼の歌が響いてきた。

「いったい僕は何を聞いていたのだろうか。」

長い間彼の歌を聴いていたけど、全然分かっていないのは自分だった。歌が出た当時も、時間が経った今も、歌は何も変わっていない。しかし、聴き手の気持ちが変わったときに、まるで霧が晴れたように心の中が見えることがある。そんな不思議な体験を経たことで、今までとは違う響き方で彼の歌が届いてくる。

最近聞いていなかった歌を久しぶりに聞いてみると、大事なことを忘れている自分に気付かされた。もう一度歌の意味をしっかりと確かめるためにも、1曲ずつ彼の歌について考えていこう。

これから、不定期に槇原敬之の歌について解説します。そのときに取り上げたい曲を取り上げていくため、順序不動になります。彼の歌が大好きな方だけではなく、「どんなときも。」「もう恋なんてしない」などのヒット曲ぐらいしか知らない人たちにも、槇原敬之の歌に興味を持ってもらえたらと思います。

きっとまだ出会っていない素晴らしい歌があるでしょう。その出会いのお手伝いをできれば幸いです。

 

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