僕には1年で番楽しみな日があります。それは槇原敬之のCDが発売する日です。20年間ずーっとこの日が1番楽しい日。槇原敬之のファンになってから、ニューアルバムはすべて発売日前日に購入しています。こんなに長い間飽きさせることなく、聞く度に新しい感動を与えてくれる歌を、ほぼ1年に1作のペースで出せるのは槇原敬之しかいないでしょう。
Illustration by Reiko Ito
その槇原敬之のニューアルバム「Dawn Over the Clover Field Review」がついに発売!今作も槇原敬之クオリティーで最高の完成度。槇原敬之本人も「Dawn Over the Clover Fieldから新しい槇原敬之が始まる気がする」と語る最新作「Dawn Over the Clover Field」はどんなアルバムなのか?!早速紹介します!
曲の解説の前に、マッキーがラジオで今回のアルバムについて話していたことを書きます。
曲数について
「今回のアルバムは全10曲(初回限定版はボーナストラックがあり11曲)。10曲と聞いて少ないと思った方もいるかもしれない。今回はかなり曲をたくさん作ったが、本当にこのアルバムだけに必要な歌だけに絞っていったら10曲になった。最近15曲ぐらい入っているアルバムが多いけど、なんか疲れちゃう。集中力が続かないんだ。」と話していました。さらに、先日広瀬香美さんのオールナイトニッポンにゲスト出演したときのこと、同じ時代にデビューしたもの同士、ノリノリのトークだったわけですが、「僕らはアーティストなんだから安売りしちゃだめだよね」と話していました。シングル曲、アルバム曲関係なくいい歌を作り続ける、お二人ならではの考え方。今回の「Dawn Over the Clover Field」ではシングルですでに発表されている曲もアルバムバージョンとして、より完成度を高めています。歌詞がクローズアップされる槇原敬之ですが、それを支える槇原サウンドにも注目してほしいと思います。
アルバムタイトルについて
「Dawn Over the Clover Field」というタイトルは、アイルランド(Clover Field)の夜明けに降り立ったという意味だそうです。アイルランドの地に行き、そこで感じたことが今回のアルバムに入っています。元々槇原敬之は民族音楽が好きで、今までの発表した曲でも、民族音楽的なテイストが入っていましたが、今回のアルバムではどうなっているのでしょうか。
今作の歌について
「歌詞をシンプルにした。無駄を削ぎ落として、できる限りシンプルで分かりやすい言葉で作った。やっぱりいいメロディーを書きたいなと思って。メロディーが際立つように、歌詞をシンプルにした」とのこと。実際に聴いてみると、今までにはない感じの曲調に聞こえるのは、そういったこともあるのかなぁと思います。
前置きはそれぐらいにして、そろそろ楽曲解説にいきましょう!
1.Theme Song
この曲が示すテーマソングは、消防車や救急車のサイレンの音。映画やドラマのようなカッコイイ歌ではなく、突然大きな音でけたたましく町を横切るサイレン。歌の主人公はうるさいなぁと思い、あの音なんとかならないのと一緒にいた友人に聞いた時に、友人がその思いの間違いに気付かさせてくれる歌です。人間は自分勝手なもので自分には関係ないことを邪魔に思ったりするけど、当事者になってその大変さに気付いたりする、都合のいい自己中な生き物。でも、その前に思いやったり考えたりすることができる生き物でもあると。自分を不機嫌にさせるものも、そうではないんだよ、という1曲目からかなり深い歌。この曲の最後にぺーペーペーと電子音が鳴るが(消防車や救急車の音ではない)、この音はけたたましく鳴るサイレンの音が、この歌の主人公の中で聞こえ方が変わったということを意味しているような気がする。この曲のラストフィドルとティン・ホイッスルを演奏している元夫婦の安井さん2人の絡みも必聴です(今でも仲が良いようです)。
2.Birds Stop Twittering Tonight
なんでもインターネットで呟けたり、通信手段が発達し、いつでも繋がれてしまう現代を少し皮肉った曲でしょうか。昔はそんな物はないから、もっと相手のことを考えたり思いやったりしていた。今はすぐやりとりが出来てしまうせいで、かえって自分を苦しませてしまっているのではないかと。「気になるのはいつだって自分が楽になりたいとき」メールが気になったり、返信がくるのを気にしたり。実はそれは自分が楽になりたいだけなんだと。「悪かったのは僕のほうだ」と自分の非を認めて謝ることでさえも、それは自分が楽になりたいだけなんだと。この曲の最後で携帯の電源を入れる代わりに、靴の紐を結んで愛する人の元へ行くわけですが、愛する人の元に言っても「ごめん」って言わないんじゃないかと思う。言葉で伝えるんじゃなくて、何も言わないような気がする。何も言わずに本当の自分の気持ちを相手に伝えるんじゃないだろか。カントリーテイストな曲調が聴いていて気持ちいいこの曲。夕暮れ時大切なあの人会いに行く前に聴きたくなりそうです。
3.ゼイタク (Album Ver.)
シングル「四つ葉のクローバー」にカップリングとして収録されていましたが、アルバムバージョンとして、よりゼイタクな音になって収録。Tomi Yo氏のストリングスアレンジが素晴らしい曲になっています。奥さんが旅行で久しぶりの1人の時間を手に入れた旦那さん。喉から手が出るほど欲しかったゼイタクな1日を手に入れた旦那さんを物凄く的確に描写した曲。いつも一緒にいてその有り難さを忘れてしまっているけど、一人になった時、一緒に「ね」って言える相手がいることはとてもゼイタクなことなんだと気付きます。全国の旦那さんが聴いたらあまりにこの主人公が自分に似ていて、苦笑いしてしまうんじゃないでしょうか。
4.バイトが君を待っている [Bonus Track]
※リクルート「タウンワーク」TVCM ソング※初回生産限定盤のみ収録
タウンワークのCM曲です。CMの曲ということで色々と制約があり、作るのが大変だったようです。それでもさすがの完成度。この短い尺でアルバイトの喜びを表現できるのは槇原敬之しかいないでしょう。
5.Season’s Greeting
季節の挨拶という意味。欧米で使う、年末の挨拶。宗教的な物を省いた、相手のことを考えた挨拶のようです。「みんながみんな洒落た街でクリスマスを過ごすと思ったら大間違いだ!下町には下町のクリスマスがある」とマッキーが言っていました。ちょっと寂れた町で、別れた彼女を遠くから元気か心配する優しさが描かれています。ちょっとレゲエちっくなサウンドなんだけど、最後はHoly,holy,holy.をマッキー得意の多重コーラスで締めます。こんな風にひとつの曲を持って行けるのは槇原敬之しかいないでしょう。冬の空気感、ちょっと寂れた町の描写力、人を思う優しい心の描写力。槇原敬之らしい暖かい曲になっています。
6.恋する心達のために (Album Ver.)
※ミュージカル「コーヒープリンス1号店」テーマソング
シングルで発売されていましたが、アルバムバージョンとしてリニューアルし収録。もう最高です!このエレクトリックサウンド。槇原敬之の真骨頂。またアレンジの仕方が凄い!冒頭部のドウルドウルンって感じがツボにはまっちゃいました。そして、アルバムバージョンの新しいリズム。壮大なストリングス(これは生の弦ではなく、どうやら打ち込みでやっているようです)このサウンドアプローチは他のミュージシャンでは絶対に無理だと思います。サウンドも凄いけど、さらに歌詞も素晴らしい。暗闇を照らす月灯りさえも、愛する人の本当の光(心)を見たいから、少しの間だけ隠れて、つかの間の暗闇を下さいと願う。こんなドラマチックな歌詞があるでしょうか。是非じっくり聴いてください!
7.Curtain Call
演劇等が終わった後に出演者舞台に出てきて挨拶する時のことです。この曲の主人公はいじめられっ子。辛いドラマ(いじめられた日)も終わったら感謝する日がくるから。痛みも辛さも味わった人にしか分からないし、味わった人にしか見えない世界があるんだよ、と力強いサウンドで応援してくれます。辛い日々が終わった時に見えた新しい世界を、舞台が終わった時の挨拶する場面に見立てています。物凄く嫌な奴も、最後は分かり合えるんだよということを言っているんじゃないでしょうか。
8.まったくどうにもまいっちゃうぜ
津波で全部流れちゃったけど、前より見晴らしが良くなりましたという、ラジオに来た一通のメールから出来た歌のようです。タイトルも凄いタイトルですが、サウンドも凄い!重たくなりがちなテーマを力強いノリノリのサウンドで表現しています。絶望的な状況でも、人は前を向いて生きていくんだと、力強いメッセージが込められています。終盤にはライブでみんなで歌えるように、ラァラァラララアとコーラスが。このコーラスかなり難しいと思うんだけど(笑)今からライブに向けてしっかり練習しておこう!
9.四つ葉のクローバー (Album Ver.)
※関西テレビ・フジテレビ系火曜 22 時連続ドラマ 「ゴーイング マイ ホーム」 主題歌
ドラマの主題歌でシングルで発売されたバージョンを踏襲していますが、音がめちゃくちゃ良くなっています。安井敬さん演奏のティン・ホイッスルの音を生音で収録。さらに生のストリングスも入れて、切れ味抜群!!!よりスケールアップしたこの曲を聴いて下さい!シングルバージョンとは聞こえ方が全然違います!
10.Flying Angels
寝相が悪く勝手気ままな方向で寝る子供達の姿を「空飛ぶ天使」と表現。世界中の子供達が何も心配することなく自由気ままに空を飛ぶように、悪い寝相で過ごせる日々がくることを祈る歌です。ストリングスをうまく使って、穏やかな夜をとても綺麗に表現しています。本当の平和や幸せって、こういうところに現れるんでしょうね。
11.Boys & Girls!
男と女。なんだか明るい恋愛の歌?!違います。恋をしない若者に槇原敬之は怒っているようです。恋をするということは、利己的から利他的になれると。自分のことじゃなくて、相手のことを思ったり考えたりすることで見えることがたくさんあるから、恋をしろ!と言っています。現代の若者を鋭く描いたこの曲も必聴です。曲調はけっこうパワーソング系なんだけど、かといって重くなりすぎないような絶妙なアレンジ。サビの部分でマッキーの声が2つで同じ歌詞を歌っているんだけど、これは男と女を表しているんだと思うのですが、みなさんはどう思いますか?
以上全11曲。僕なりに感じた事を書きました。槇原敬之は「Dawn Over the Clover Field」という新しいアルバムで、Popsから槇原敬之という新しいジャンルを確立したように思います。これまで数え切れないほどの名曲を作ってきた槇原敬之。それでも進化を止めない43歳!!!日本中の人に聴いてほしいし、一番聴いて欲しいのは、CDが売れない売れないと嘆く業界関係者。音楽、歌、メッセージ、アーティスト。その意味を今一度確かめるには、本当に素晴らしい作品に触れるしかないと僕は思います。
今の日本で、ひとつのアルバムを通し、しっかりとメッセージが届けられるアーティストはなかなかいません。このブログを読んで、聴いてみようかなぁと思った方。損はさせません!すぐに買いに行こう!きっとあなたの心に届く歌がここにあるから。
Dawn Over the Clover Field(初回生産限定盤)(DVD付)
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Dawn Over the Clover Field
槇原敬之
ジャンル: J-Pop
リリース日: 2012-12-19
posted with sticky on 2012.12.18
インターネットラジオで本人からの楽曲紹介
楽曲紹介スペシャル〜前編〜
楽曲紹介スペシャル〜後ろ編
槇原敬之本人の楽曲解説。
「Dawn Over the Clover Field」特設ページはこちらから!
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