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CGも派手なアクションもないけど最高の映画「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」

年始に素晴らしい映画を観ました。「ヘルプ~心がつなぐストーリー」という映画です。日本では2012年2月に公開された映画。昨年末、ある方にこの映画を薦められて観ましたが、本当に素晴らしい映画でした。

映画『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』公式サイト
この感動をあなたに。

僕は「これはいいよ!」って薦められた物は、絶対に体験したほうがいいと思っています。人は生きる中で、様々な経験をします。その長い人生の中で感動した物を、こんな僕にいいよ!って言ってくれる訳です。その人の心を揺さぶった物はいい物に決まっています。でも、人間には困ったところがあります。それは、自分の好きな物以外の物をなかなか受け入れないということ。知らない物って、パッと見た時の印象等で、見当違いの思いを抱き、それを遠ざけてしまうことがあります。さらに、自分の知らない事をしようとするときには、パワーを使います。人間はすぐ楽なほうに逃げてしまう癖がありますので、そのパワーを使うことが出来ず、それに向かわないで逃げてしまうことがあります。

自分の好きな物ばかり囲んでいては、自分自身の成長はありません。自分の知らない物を体験していくことこそが、自分を新しい世界へ導いてくれます。この映画がまたひとつ、僕を成長させてくれました。この場を借りて改めてお礼を言うとともに、この素晴らしい映画「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」を紹介します。

テーマは重いけど、観るのは重くない


この映画は、人種差別問題を描いた映画です。1960年代のアメリカにあった、白人の黒人に対する差別を描いています。思い返せば、学校の歴史の授業で、そういったことを勉強したような記憶があります。あの時は、歴史という授業で、ただ覚えるというだけで勉強していましたが、ただ事実を丸暗記するように覚えていても、まったく意味がなかったと思います。短い授業の時間では、深く掘り下げて教えることは不可能ですが、歴史という授業は、ただ暗記すればいいみたいに思われています。ただ覚えるだけでなく、もっと深くその事実を知ることで、歴史の授業の意味も変わっていくように思います。そういった意味でも、この素晴らしい映画を、一人でも多くの人に観てほしいと思います。

この映画のタイトルとなっているのは、ヘルプ=黒人家政婦のことです。上流階級の人達は、黒人家政婦を雇っている家が多かったのですが、酷い人種差別や、この地域に根強く残る偏見が描かれています。一つの映像としてこういった難しい問題を見せられることで、何とも言えない気持ちにさせられます。しかし、それを演じる役者達が素晴らしいおかげで、どんどん物語に引き込まれます。さらに、黒人家政婦達が、差別や偏見を受けながらも、暗くならず、ユーモアたっぷりに生きる姿に、どんな状況でも生きていく強さを感じます。

そんな周りの状況に違和感を感じ疑問を抱いたのが、白人の新人ライター、エマ・ストーン演じるスキーター。一人のライターとして、黒人メイドたちの真実を著す責任を感じたスキーターは、ヴィオラ・デイヴィスが演じる、エイブリーンを熱心に説得し、密かに取材を始めていきます。

根強い偏見や差別がある中で、このような取材を行うことが見つかってしまえば、黒人はとんでもない仕打ちを受けることになります。その為、最初はエイブリーン以外の協力者はいませんが、様々な事をきっかけに、風向きが変わっていきます。そして最終的にはヘルプという黒人差別の実話を描いた本が出版されて、世界が変わっていくというストーリーです。

比較的、たんたんと話しが進んでいきますが、それぞれの登場人物の描き方が抜群に良く、白人の視点、反対に黒人の視点、どちらの視点も平等に描かれているため、押しつけがましさがありません。さらに、個性的な女性キャストを揃えることで、重たいテーマをチャーミングに描くことで、映画らしい娯楽も感じさせてくれます。

そして、何よりも素晴らしく感動したのが、ハッピーエンドでもなく、バッドエンドでもない終わり方です。並の映画ですと、ヘルプという本が出版され、世の中が変わったという感じでハッピーエンドになるところでしょう。ところがこの映画は、そうは終わりませんでした。白人ライターのスキーターは、この本が認められ、遠く離れた場所へ移動する出世話が来ます。しかし、母の病気が心配で、その話を断ろうとします。それを告げると母は、最近は具合もよくなってきたから大丈夫だとスキーターに言います。この時代の女性は、仕事をするのではなく、家柄の良い男性と結婚することが幸せという時代で、スキーターの母も、最初はそれを望み、この映画でもそういったシーンが登場します。しかし、最終的に、母は娘の仕事の出生の道を助けようとします。
その次のシーンでは、もう一人の主役、黒人家政婦のエイブリーンを描きます。ヒリーの報復を受け、してもいない罪を着せられようとします。それでもエイブリーンはしていないと毅然と言い放ちます。それでも怒りが収まらないヒリーは、エイブリーンを解雇します。突然の解雇で、我が子の様に愛情を注いできた、ヒリーの子供とも突然の別れ。ヒリーの家を出て、前を向いて力強く歩いて姿でこの映画は終わります。みんなの勇気ある行動が世の中を変えたが、それでもまだまだ困難は続いていく。それでも逃げることなく、前を向いて生きていくその姿は、人間の人生そのものです。

そしてこのラストシーンで、メアリー・J. ブライジ が歌う「The Living Proof 」という曲が流れます。この曲はこの映画の脚本を読んで書いた歌だそうです。この歌の歌詞の訳がラストシーンに出てくるのですが、その歌詞の素晴らしさに、涙するしかありませんでした。この歌声で、歌詞の訳が下に出ながら、エイブリーンがまっすぐに続く道を歩いて行く後ろ姿を見て、「なんで映画館で観なかったのだろうか」と物凄く後悔しました。

およげ!対訳くん: The Living Proof メアリー・J・ブライジ(Mary J. Blige)
この翻訳を読んで、感動してください。

本当はもっとこの映画の素晴らしさを紹介したいのですが、僕という人間が未熟なため、まだこの映画を語りきることが出来ません。色々ネットで調べたところ、この映画を2012年のベスト1に上げている方がたくさんいました。僕も見終えて納得です。派手なアクションシーンも、CGもない。人物をしっかり描くことで、本当の感動を作り上げたこの映画こそが、2012 年の№1映画に相応しいと思います。派手な大作映画も大好きですが、こういった映画があるからこそ、映画という物の価値が不変的なのでしょう。

この映画との出会いと、この感動を教えたくれた方に感謝します。本当にありがとうございました。

 

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