パソコンの価格が高騰しています。
先日も生徒さんから「そろそろ買い替えたいけど、今は高いから待ったほうがいいですか」と聞かれました。この質問、答えがMacとWindowsで正反対になります。
MacBookは、待っても下がりません。1年前に18万円だったモデルは、今日も18万円です(円安や半導体価格の高騰で発売時より高くなりました、、、)。Appleのサイトを毎日見ていても、価格が動くことはまずありません。
ところがWindowsノートは違います。数ヶ月前まで15万円台だった同じ型番が、ある日見たら3万円近く下がっていたりする。しかも「セール」と書かれていないこともある。気づいた人だけが得をして、知らない人はそのまま高い値段で買っています。
なぜ同じノートパソコンなのに、こんな差が出るのか。
理由は性能でもブランド力でもなく、誰が値段を決めているかという一点です。ここを知っておくと、「待つべきパソコン」と「待っても無駄なパソコン」が自分で判断できるようになります。
Macが下がらない理由
Macも、実は多くが家電量販店やネットショップで売られています。Apple Storeだけで売っているわけではありません。
それなのに、どこで買ってもほとんど同じ値段です。なぜでしょうか。
理由は、お店に値下げする余裕がないからです。
家電量販店は、メーカーからパソコンを仕入れて売っています。このとき仕入れ値と売値の差が、お店の取り分になります。Windowsのパソコンなら、この差は15〜20%ほどあると言われています。15万円で仕入れて18万円で売る、というイメージですね。
ところがApple製品は、この差が数%しかありません。18万円のMacBookを仕入れて、お店の取り分は数千円程度。
この状態でセールをしたらどうなるか。1万円値引きした瞬間に、お店は赤字です。
Windowsノートが「18万円を15万円に」とできるのは、下げる余裕がもともとあるからです。Macにはその原資がない。だから、どこの店に行っても値札が同じなのです。
ちなみにAppleは、量販店に卸すより直販のほうが儲かります。それでも店に置くのは、多くの人が家電量販店でパソコンを見るからです。利益を削ってでも、見てもらう場所を確保しているわけですね。
そしてもうひとつ。Appleはお店に在庫を余らせません。
Appleは自社で需要を予測して、生産数と出荷数を細かく調整しています。だからお店に「売れ残ってしまった山」ができにくい。値下げというのは基本的に在庫処分の手段ですから、処分すべき在庫がなければ、そもそも値下げは起きません。
型落ちになったモデルも、Apple自身が公式サイトで値下げして売るか、販売を終了します。メーカーが自分で後始末をするので、お店に古いモデルが溜まっていかない仕組みです。
まとめると、Macの価格が動かないのは、値下げする余裕もなければ、値下げする理由もないからです。
だから「安くなるまで待とう」という作戦は、Macに関しては通用しません。半年待っても、同じ値段で同じものを買うことになります。
Windowsが下がる理由
Windowsのパソコンは、まったく逆の仕組みです。
作っているのはメーカー(NEC、富士通、Lenovo、HP、Dellなど)。売っているのは家電量販店やネットショップ。作る会社と売る会社が別です。
ここが決定的な違いを生みます。
お店は、メーカーからパソコンを買い取って店に並べています。売れ残ったら、その損はお店が背負う。しかもパソコンは、置いておくだけで価値が下がっていく商品です。新しいCPUが出れば、昨日まで最新だったモデルが一気に古くなる。
だからお店は、次のモデルが入ってくる前に、今の在庫を売り切らないといけない。
売り切るための手段が、値下げです。「15万円で仕入れて18万円で売りたかったけれど、売れ残って在庫を抱えるくらいなら16万円でいい」——この判断が、あの突然の値下がりの正体です。
つまりWindowsノートの価格は、性能で決まっているのではなく、お店の在庫の都合で動いています。
同じ型番なのに店によって値段が違うのも、これが理由です。在庫の状況が店ごとに違うからですね。
値下がりのタイミングは、実は読める
Windowsノートの値下がりは、突然のように見えて、実はパターンがあります。お店の都合で下がるわけですから、お店の一年を知っていれば予測できるのです。
大きく3つです。
1. 新モデルが出る直前・直後
一番大きく下がるタイミングです。
各メーカーは、だいたい年に2回(春と秋)に新モデルを投入します。新しいものが入ってくれば、古いものは棚から降ろさなければいけません。その入れ替わりの時期に、旧モデルが一気に安くなります。
下がり幅も大きく、2〜4万円動くことは珍しくありません。狙い目です。
2. 決算期
日本の企業の多くは3月が決算です。家電量販店も同じで、2月から3月にかけて、数字を作るための値引きが増えます。
9月の中間決算も同様です。この時期は「なぜか安い」ことが多いのですが、理由は在庫ではなく、お店の帳簿の都合ですね。
3. 新学期・新生活シーズンの直後
2月から4月にかけて、パソコンは一年で最も売れます。お店はこの時期に向けて大量に仕入れます。
そして売れ残ったものが、5月に残る。春商戦向けに積んだ在庫を処分する時期なので、ゴールデンウィーク明けは狙い目です。
逆に、買ってはいけない時期もあります。
12月から1月です。年末年始はセールという言葉が飛び交いますが、パソコンに関しては需要が高い時期なので、実はそれほど下がりません。「初売り」の文字につられて、通常価格に近い値段で買ってしまう人が多いです。
まとめると、Windowsノートを狙うなら、3月・5月・9月・10月。この4つの月を覚えておけば十分です。
そしてMacは、いつ買っても同じです。必要になったときが買い時、と割り切ってしまってかまいません。
安くなったパソコン、買う前に確認すること
ここからが本題です。
安い=お買い得、ではありません。安くなるには理由があって、その理由が「入れ替わりだから」なら買いですが、「そもそも売れないものだから」なら見送りです。
見分けるポイントを4つ挙げます。
1. CPUの世代を見る
一番大事です。型番の数字を見てください。
Intelなら「Core i5-1335U」のような表記で、ハイフンの後ろの最初の2桁が世代です。この場合は13世代。現行より1〜2世代前なら、型落ちとして妥当な安さです。
ただし、これが10世代や8世代だったら要注意。何年も前の製品を、在庫処分で流している可能性があります。安くても手を出さないほうがいいです。
2. メモリは16GB以上か
安いモデルは、ここが削られています。
8GBのパソコンは、今のWindowsだと動きが重く感じます。数年使うつもりなら16GBは欲しいところです。メモリが8GBで安いのは、当たり前の値段であって、お買い得ではありません。
3. ストレージがSSDで256GB以上か
「eMMC」と書かれていたら避けてください。SSDより大幅に遅い、安価な部品です。
容量は256GBが最低ライン、できれば512GB。128GBだと、Windowsの更新プログラムを入れるだけで空き容量が足りなくなります。
4. 画面の解像度
「1366×768」と書かれていたら、これも避けたほうがいいです。今の基準ではかなり粗く、作業効率に直結します。フルHD(1920×1080)以上を選んでください。
この4つを確認するだけで、「安物買いの銭失い」はほぼ防げます。
逆に言うと、この4つを満たしていて安いなら、それは本物のお買い得品です。新モデルの入れ替わりで下がっただけの、中身は十分なパソコンということですから。
Macを検討されている方は、こちらもあわせてどうぞ。
→ 【正直レビュー】MacBook Neoを買って後悔した話|AirとNeoどっちを買うべきか比較
まとめ
長くなったので整理します。
- Macは待っても下がらない。お店に値引きの余裕がなく、在庫も余らない仕組みだから
- Windowsは下がる。お店が在庫を抱えていて、売り切る必要があるから
- 狙い目は3月・5月・9月・10月
- 安さの理由を確認する。CPU世代・メモリ・ストレージ・解像度の4点
パソコンの値段は、性能だけで決まっているわけではありません。誰が値段を決めていて、誰が在庫を持っているか。この仕組みを知っているだけで、同じ予算でワンランク上のパソコンが買えます。
高い買い物です。焦らず、仕組みを味方につけてください。




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