批判ばかりだった侍JAPANですが、誰もが想像もしなかった結果が出ていることで、チームを取り巻く環境が変わってきました。
WBC開幕前は、関心の低い人ばかりだったのに、予想外の快進撃を受け、日に日に盛り上がるいっぽうです。
この状況を見て感じたのは、ただ応援する人たちは、なんて身勝手なんだろうかと。盛り上がる周りとは反対に、選手たちは至って冷静です。やっている本人たちは、当事者ではない人間とは気持ちがまったく違います。ただ勝手に盛り上がっているファンとは違い、勝たなければいけない責任があります。代表に選ばれたからには、最低限の結果を出さなければいけません。侍JAANに求められている最低限の結果は、世界一です。1次リーグを全勝で突破したからといって喜んでいられないのです。
こんな風に思ったのには理由があります。たまたま自分の周りで起こった状況と、侍ジャパンを取り巻く状況が重なって見えてしまったからです。
自分の仕事の営業成績が、期の後半にみるみると上がっていき、前半の不調だったのが嘘かのように達成してしまったのです。
それまでほとんど口も聞いてこなかったような人たちが、急にワイワイと寄ってきては喋ってきます。まだまだいけるんじゃないか、また注文入っているなんてすごい、会社の1番偉い方まで、ニヤニヤと言葉をかけて寄ってくる有り様。普段ほとんど喋ることなんてなかったのに、こちらがウンザリするぐらい喋ってきます。
さらに言葉を失った出来事がありました。違う部署の部長が急に僕を呼び、何かやらかしかたっけなぁと考えながらその部長のもとに訪れると、「おめでとう!」という言葉と同時に握手を求めてきたのです。大根役者顔負けの演技に目が点になりつつも、大根役者に負けてたまるかと、迫真の演技で「ありがとうございます!」と握手をしました。
本当に人間っていい加減なもので、調子が悪い時は寄ってこないのに、ちょっと調子が良いと、何かを漁りに来るかのように寄ってきます。自分としては特別なことをしたなんてことはなく、ただ黙々とやるべきことをやってきただけです。もちろん結果を出すためにベストを尽くしてきたので、目標をクリアーしたことは嬉しいのですが、当の本人は至って冷静です。特別嬉しいわけでもないし、特別凄いとも思いません。自分のやってきたことが、たまたまうまくハマっただけだという感じです。
侍JAPANの選手たちも、きっと同じような気持ちでしょう。たまたま結果が出ただけで、本番まで黙々とやってきたことが、ここに来て身を結んだだけなのです。
自分の周りで起きたことと、侍JAPANの盛り上がりかたを見ていると、本当に人間って都合の良い生き物だなぁと思いました。
3月21日からは、負けたら終わりの戦いが始まります。これだけ盛り上がったのに敗退したら、手の平返しで批判する人も出てくるでしょう。
いい時だけ寄ってくるようなファンに惑わされず、本当に応援している人は、周りの声に惑わされることなく、自分が愛する選手を応援しましょう。
名前だけの解説者が大根役者顔負けの演技で「おめでとう!」と握手を求めるシーンが、お茶の間のテレビで流れているときは、日本中が歓喜の渦に包まれていることでしょう。
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