この年末一番楽しみにしていたモノが届きました。それは「Kindle Voyage」です。小さいタブレットのように見えますが、中身はタブレットとはまったく違います。
Kindle Voyageはモノクロのディスプレイです。さらにディスプレイの描画もとても遅いため、普通のタブレットのようにWebブラウジングをするには無理があります。ディスプレイの描画が遅い時点で、タブレットのように使うことはできません。タブレットがどんどん高性能になっていく中、今時あり得ないぐらい地味な端末になっています。
こうやって書くと欠点ばかりの端末に聞こえますが、この欠点を活かして電子書籍端末に仕上げたのが「Kindle Voyage」という端末です。
なぜ読書専用端末なのか
タブレットの価格が急速に下がっています。Amazonが発売したタブレット「Fire HD6」は、なんと11,800円という衝撃の価格。安かろう悪かろうのタブレットではなく、普通の使い方なら何ら問題のない動作速度です。アレもコレもできるタブレットが11,800円で購入できるのに、同じAmazonが販売するモノクロ端末「Kindle Voyage」が21,480円。なんと倍も値段が違います。普通に性能だけを見ると、「Kindle Voyage」が圧倒的に割高です。
電子書籍専用端末のKindleは、現在3つのモデルがあります。一番安いKindleは6,980円、Kindle Voyageが登場するまでは最上位モデルだった、Kindle Paperwhiteが10,280円。そして今年登場した最上位モデルKindle Voyageが21,480円というモデル構成。今年出た最上位モデルの「Kindle Voyage」は、昨年までの最上位モデル「Kindle Paperwhite」から倍の値段になりました。
KindleはiPadのようなタブレットと違って、本を読むことしかできません。本しか読めない端末に20,000円以上も払って購入する人は、かなりの物好きとしかいいようがありません。iPadやAndroidタブレットでも、Kindleアプリをインストールすれば、電子書籍を読むことができます。わざわざ普通のタブレットが購入できるぐらいのお金を出してまで、「Kindle Voyage」を購入する必要があるのでしょうか。スマートフォン、タブレット、一番安いKindleを持っている僕が、「Kindle Voyage」をレビューします。
ディスプレイがRetinaみたいに
まずパッと画面を見たときに、綺麗になった!と素直に思いました。一番安いKindleも、普通に読書をする分には問題ありませんが、よーく見ると文字に若干の粗さを感じることがあります。日本語は漢字があるため、ディスプレイの解像度が粗いと、文字が読みにくくなってしまいます。ディスプレイの解像度が上がったことで、文字の粗さがなくなり、高速で文字を読むことができます。本をたくさん読まれる方は、かなりのスピードで本を読んでいくと思います。1ページにかける時間は数秒という方もいるでしょう。そういった方にとっては、ディスプレイが粗いと、紙の本のように文字を読むことができません。
左の一番安いKindleは若干文字の粗さが目立ちます。この文字の粗さも、文字の大きさを、下から3番目のサイズにすることでバーすることができます。しかし、文字を大きくすると、1ページに表示できる文字の数が減ってしまいます。本を読み慣れている方は、1ページの文字量が多い方が、読書スピードを上げることができるので、小さい文字でも文字をはっきりと認識できる「Kindle Voyage」の良さが活きてくるでしょう。「Kindle Voyage」なら、一番小さい文字でも文字を認識しやすくなっています。
文字の粗さを感じない「Kindle Voyage」のディスプレイは、Kindle Retinaと言ってもよいでしょう。2万円を超す「Kindle Voyage」の価格は、ディスプレイがRetina化された分だけ高くなっているということになります。
バックライトがあるおかげでやや暗い場所でも読みやい
「Kindle Voyage」はバックライトが付いています。このバックライトは、真っ暗なところで役に立つというよりも、やや暗い所で威力を発揮します。
一番安いKindleは、バックライトがありません。光があまりないところに行きますと、ディスプレイがかなり見えにくくなります。しかし「Kindle Voyage」なら、やや暗い所でも、しっかりとバックライトが照らしてくれるおかげで、問題なく文字を読むことができます。一番安いKindleを購入したときは、バックライトなんて要らないと思いましたが、「Kindle Voyage」を使ってみて、無いよりはあるに越したことはない機能だと感じました。
動作速度は今までと変わらない
最上位機種の「Kindle Voyage」と、一番安いKindleの動作速度はほとんど同じです。ページ捲りのスピードや、本の一覧(ライブラリ)に戻って、本を探すときの動作なども、違いがありません。端末自体の処理能力に大きな違いはないと思われます。ディスプレイの解像度が高くなった分、一番安いKindleよりは処理能力は上がっていると思われます。一番安いKindleでも、使っていてとく不満を感じない動作速度です。同じように「Kindle Voyage」でも、使っていてストレスを感じるようなことはないでしょう。
ページ捲りボタンは必要ない
他のKindle端末との違いは、ページ捲りとページ戻りのボタンがあるかどうかです。「Kindle Voyage」は、ディスプレイの縁部分にセンサー式のボタンがあります。このボタンを押すことで、ページを送ったり、戻ったりすることができます。
ディスプレイ部分をタッチしなくてもページを捲ることができるということで、「Kindle Voyage」の目玉機能のひとつになっていますが、使ってみたところ、このボタンの必要性を感じません。必要性を感じない理由として、ボタンをかなり強く押さないと反応してくれないからです。実際に使ってみるまでは、指が触れるぐらいで反応すると思っていましたが、しっかりと下に圧力を加えないと反応しません。
ディスプレイの縁部部にあるということで、触っただけでは反応しないようなボタンにしたのでしょう。ページを捲れるぐらいの力でボタンを押すぐらいなら、ディスプレイ部分をタッチしてページを捲ったほうが、圧倒的に楽です。楽なだけではなく、そのほうがページを捲る速度も速いでしょう。
このページ捲りとページ戻りのボタンは、今のところ無くても良かったのではないかと思います。今後のバージョンアップで、押す力をもっと細く調整できればいいのですが、現在のところ、大・中・小と3段階にしか調整できません。しかも、どれにしてもあまり違いを感じません。もっと弱い力でも反応するように設定できるようになることを望みます。
Voyage用ORIGAMIカバーはいい
Amazon純正のカバー、「Amazon Kindle Voyage用ORIGAMIカバー」も購入しましたのでレビューします。パッケージを開けた瞬間、どうやって「Kindle Voyage」に装着するるのだろうかと思うぐらい、ケースの側面が引っかかるようになっていません。そんな不安も「Kindle Voyage」に付けてみて納得しました。ORIGAMIカバーに磁石が付いていて、「Kindle Voyage」にピタッとくっつく仕組みになっています。
このORIGAMIカバーの売りは、ケースの蓋を折りたたむと、スタンドのようになり、「Kindle Voyage」を立てたまま本を読むことができます。
実際に使ってみると、かなり便利です。スターバックスのカフェなどで使うときには必須アイテムじゃないでしょうか。
ただひとつ難点なのは、ORIGAMIカバーが少々重いということ。磁石でくっつけるというケースになっているため、どうしても重くなってしまうのは仕方がないことかもしれません。
読書が好きかどうか
読書が好きかどうか。これが「Kindle Voyage」を購入する決め手になるでしょう。読書が好きな方なら、間違いなく2万円以上出して「Kindle Voyage」を購入する価値があります。しかし、あまり本を読まない方に、いきなり2万もする端末を購入することを勧めることはできません。まずは、一番安いKindleで電子書籍を体験してほしいと思います。
とにかく本が大好きで、毎日読書をするような方には「Kindle Voyage」は間違いなくお勧めです。一番安いKindleとはディスプレイの解像度が違うため、明らかに文字が読みやすくなっています。このレベルの解像度なら、紙の本に印刷されている文字を読む感覚で読書ができます。「Kindle Voyage」のディスプレイがRetinaクラスになったことで、電子書籍より紙のほうが読みやすいということも無くなるように思います。
「Kindle Voyage」の登場は、電子書籍専用端末もRetina化し、紙か電子書籍かというような争いがなくなり、電子書籍が一般化への段階に入ったと言えるでしょう。
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